Smart science to improve lives™
検索を開く カート 0 カートを確認する
パームフルーツを持っている手;

持続可能なヤシが森林伐採の減少に貢献する仕組み

ヤシに関する事実や神話、大きな疑問、そして今後の方向性などのあらゆること

「パーム」「ヤシ」という言葉を聞いて何を思い浮かべますか?化粧品の約70%に含まれる原料でしょうか?森林伐採とそれに伴う生物多様性の損失でしょうか?あるいは、より持続可能な社会を目指すためにその原料を避けたいといった気持ちかもしれません。それらは全て何らかの形で関連しています。

クローダのコーポレート・サステナビリティ担当であり、Vice President of Customer Alliancesであるに、ヤシに関する事実や神話、大きな疑問、そして今後の方向性などのあらゆることについてお話をしています。

パームフルーツを持っている手

ヤシについての事実

パーム油は、アブラヤシの果実から得られる油です。アフリカが原産地の植物で、アフリカや南米でも栽培されていますが、世界のヤシの約85%はインドネシアとマレーシアで栽培されています。

毎年、数百万トンの作物が植物油を生産するために栽培されています。その総生産量のうち約40%がヤシで、最も生産量の多い植物油です。しかしながら油脂用植物の栽培に利用される総面積のうち、ヤシの農地は6%にも満たないのです。

「これは、最も収穫量の多い油脂作物であるヤシの、効率の良さを絶対的に表しています」とChris Saynerは話してくれました。

実際、WWFは「大豆油、ココナッツオイル、ヒマワリ油などの代替油を同じ量だけ得るためには、4倍から10倍の土地が必要になる。」と説明しています。

食品業界は世界のヤシの大半を利用している一方で、ホームケア及び化粧品業界では、クローダの試算ではわずか5%ほどです。この割合は小さいものの、化粧品の70%にパームが使用されています。パームが持つ化学的汎用性(幅広い脂肪酸組成など)は様々な成分の生産に利用できるため、非常に価値の高いです。単一の油脂作物で、化粧品原料に不可欠な幅広い構成要素を生産できるものは他にありません。 

ヤシについての神話

一般的な誤解として、化粧品業界では特に、パーム油を使うのは良くないことであり、代わりの代用品を探すべきだというのがあります。パームの生産が直接的に森林伐採と生物多様性の損失をもたらしている、というメッセージが広まっているためです。さらに、熱帯雨林が伐採されると、その下の炭素吸収源である泥炭が露出し、温室効果ガス(特に二酸化炭素)が大気中に放出されることに懸念がもたれています。

残念なことに、このメッセージは過去のヤシ生産においては正しく、現在でもこの悪習の証拠が残っています。しかし2000年代初頭に、ヤシの生産が環境に与える影響を認識し、WWFとヤシに配慮する一部の企業が「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)」を結成しました。現在では世界から5000を超える会員数となったRSPOは、持続可能なパーム油のためのグローバルスタンダードの展開と実行を進めてきました。生態系と環境の保護、保全、そして強化といった環境面と社会面の両方の基準は、企業が認証された持続可能なパーム油(CSPO)の生産と利用を行う際の指針となっています。

ヤシについての大きな疑問

パーム油の利用を止めて、代用品を探すべきでしょうか?

いいえ!持続不可能なヤシの利用には問題がありますが、ヤシの代用を試みることにはさらに大きな問題があります。

前述した通り、パーム油は最も効率の良い植物油です。パーム油からココナッツオイルや大豆オイルなどの他の植物油に切り替えようとすると、4倍から10倍の土地が必要になります。他の植物油に切り替えることは、森林伐採を増加させ、生物多様性の損失と温室効果ガスの排出を永続化させるリスクがあるのです。

パーム油の代用品を探すことは社会的責任を果たすことにもなりません。ヤシのおよそ40%は、50ヘクタール未満の農場を営む小規模農家によって栽培されています。代用品に切り替えることは、これらの小規模農家のビジネスを奪うことになり、彼らの生活や健康に悪影響を及ぼすでしょう。私たちは持続可能なヤシの生産を支援していくべきなのです。

Saynerは「ヤシから脱却することは間違った行動です。持続可能なヤシを支援することが正しい行動です」と述べています。

持続可能なヤシの利用と二酸化炭素の削減には関係があるか

あります!持続可能なヤシの利用と二酸化炭素の削減には相関関係が広く認められています。RSPOは森林伐採と生物多様性の損失を減らすことを目指して発足しましたが、現在ではこれらの原則と基準に従うことが温室効果ガスの大幅な削減につながることがわかっています。実際、Schmidt氏とDe Rosa氏による2019年のライフサイクル分析では、CSPO(認証された持続可能なパーム油)の生産による温室効果ガスへの影響は、認証されていないヤシに比べて約35%低いことが示されました。

ヤシの利用における今後の方向性

ヤシの利用を禁止したり、ボイコットしたり、代用品を探したりすることは、ヤシの生産がもたらす森林伐採や生物多様性の損失、あるいは二酸化炭素の排出に対する解決策ではありません。持続可能なヤシこそが進むべき道なのです。CSPOは、生態系の保護や二酸化炭素の排出削減、小規模農家の繁栄を支えていくことを目指しています。

現在、世界のヤシ生産のうちRSPOの認証を受けたものはわずか19%に留まります。クローダでは世界中の15の生産拠点でRSPOの認証を受けており、またパーム油とパーム核油誘導体に関するサプライチェーンの問題に取り組む業界主導のプラットフォーム、Action for Sustainable Derivatives(ASD)の創設メンバーでもあります。最近では、The Estée Lauder Companies Charitable Foundation(エスティローダーカンパニーズ慈善基金)、GSK Consumer Healthcare(グラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア)、Natura &Co(ナチュラ・コスメティコス)、Seppic、Stéarinerie Duboisと提携して、ASD Impact Fundを共同で立ち上げました。この基金は、地域社会の力を高めながら、持続可能なパーム油生産を大規模に行うための環境構築を目指すInobu Mosaik Initiativeを支援するものです。

Sources:
(1) https://www.wwf.org.uk/updates/8-things-know-about-palm-oil
(2) https://ourworldindata.org/palm-oil 
(3) https://rspo.org/library/lib_files/preview/1079 
(4) https://rspo.org/smallholders