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髪の強さの科学:消費者向けヘアケア処方の開発で重要なこと

健康で強さのある髪を保つためのコンディショニング

強くて健康な髪が欲しい。これはどんな髪質の人でも思うことであり、「強い」髪が健康な髪と思っています。消費者は健康な髪のために、製品に書いてある宣伝文句を見て、髪を強くしてくれる製品を探しています。コンディショニングの重要性を学ぶために、こちらのブログをぜひ読んでみてください。Crodaのようなヘアケア向け原料のサプライヤーは、こういった要望を参考にして、ニーズを叶えられるような製品づくりをする必要があります。したがって髪を強化する成分は、有効性を判断し、消費者のためになるヘアケア処方を開発するために、機器分析や消費者への官能評価によって検証する必要があります。最初に、髪の強さが実際に何を意味するのか、そしてこれをどのように定量化できるのかを理解することが重要です。

クローダのヘアケア

強い髪の性質を左右する3つの構造

一般に髪の強さは、髪の繊維の張力のことを指します。繊維を引き裂くのに必要な力が大きいほど、髪が強いことを示します。化粧品開発者は、機器を利用して様々な分析手順で張力を測定し、髪の構造を隅々まで調べ、どこがどのように変わってしまうか数値化してゆくことで、どれだけ多くの要因によって髪がダメージを受けるか全体像を明らかにしていきます。髪が持つ力学的な性質は、キューティクル、コルテックス、メデュラの3つの層からなる複雑な構造からきています。

キューティクル(毛小皮)

外側のキューティクル層は、内側の皮質を保護する疎水性の保護膜です。根元から先端に向かって平らに重なり合う鱗状に構成されています。 キューティクルは、髪の触覚に影響を与えるため、化粧品業界では非常に重要です。

メデュラ

メデュラは毛髪の中心にあります。ただし、髄質が存在しない髪の種類もあります。毛髪内の機械的、化学的特性に関するメデュラの影響についてはまだほとんど知られていないため、いまのところはあまり重要視されていません。

コルテックス

コルテックスは毛髪の大部分を占めています。主に毛髪の機械的特性に寄与しており、髪の強さは主にこのコルテックスに由来します。主に紡錘形の皮質細胞cortical cellsで構成されており、毛髪繊維に沿って縦方向に走り、キューティクル間にある薄い細胞膜複合体(CMC)によって結合しています。皮質細胞はかなり小さな構造であり、マクロフィブリルが主成分です。各マクロフィブリルの長さに沿って整列する中間径フィラメントintermediate filamentsで構成されています。中間径フィラメントは、ケラチン関連タンパク質で構成されたアモルファスタンパク質構造を含み、高いシスチン含有量を有するタンパク質マトリックスに埋め込まれています。  

コルテックスが髪の強さを担っているため、トリートメントは不可欠です。キューティクルで保護されているとしても、髪の構造に影響を与え、力学的特性に影響を与える可能性のある多くの要因があります。いくつかの例を示します。

髪の強さにダメージを与える外部要素

外部要因によるダメージ

スタイリングツールからの熱、パーマや縮毛矯正などの化学処理、紫外線などの環境要因はコルテックスの内部構造に影響を与え、結合を破壊し、場合によっては髪質を改編する可能性があります。髪の繊維に繰り返しこのようなダメージを与えてしまうと、内部構造の弱体化を引き起こし、髪がより壊れやすくなります。

先天的性質

外部からのダメージを受けていない髪でも、弱くなる可能性があります。生まれつきの縮れやねじれ、ねじれが発生しやすい髪質の人などが該当します。このような癖やねじれはキューティクルが途切れ途切れになっていることを意味しており、櫛でとかしたりブラシで梳いたりするだけでダメージを受けやすくなります。また、毛髪の断面が太いほど強度が上がる傾向があります。

髪の老化

自然な老化の過程で、髪の強度と柔軟性は失われていきます。年齢を重ねることでホルモン産生が変化していくため、バランスが崩れることで髪のコンディションも悪くなっていきます。ある研究では更年期障害もその一例としてあり、髪がもろく壊れやすくなることが分かっています。表面が荒くなり、縮毛しやすく、一般的に髪が細くなりやすいと言われています。こういった変化は、髪の内部構造の変化に関連していると考えられています。

では実際にどのようにして髪は弱くなっていくのでしょうか。答えはシンプルです。複雑な構造を支えているコルテックス内の結合が破壊され、引っ張り強度は低下し髪が切れやすくなるからです。

コルテックスの中には主に3種類の結合が存在します

  • 水素結合
  • イオン結合
  • ジスルフィド結合

それぞれの結合がコルテックス内の異なるエリアを結合する役割を担っており、これらが組み合わさって髪の強さに寄与しています。

全体的な髪の強度に寄与する一方で、水素結合とイオン結合は髪の自然な形に一時的に影響を与えることもあります。湿気や熱を受けると徐々に結合は壊れていき、別の形になってしまうためです。髪が濡れているときに髪型が崩れていることを想像してみてください。それが、水素結合とイオン結合が崩れている状態です。その後、髪を乾かしたり冷やしたりすると、髪型が新しい形になります。これが2つの結合が再度機能した状態です。

ジスルフィド結合は、髪の毛の強さ、形に大きく関与する永久的な結合です。縮毛矯正やパーマをかけるような化学処理は、ジスルフィド結合を破壊して髪の形を根本から変えるような方法です。この変化は不可逆的で、新しい髪型が崩れないよう、コルテックス内の結合を再形成させるための工程はあるものの、すべての結合が再形成されるわけではないため、髪はよりもろく、弱くなり、壊れやすくなります。 

予防は治療にまさる、とはよく言いますが、普段色々なスタイリングを髪に施していても、必ず予防できるものではありませんよね!ここでは、弱った髪の強さを回復するための、修復効果がある多様なヘアトリートメントがあります。 私たちが提案する解決策はこちらです:

髪は主にケラチンでできており、その優れた性能のおかげで、ヘアトリートメント分野ではケラチンベースのタンパク質に対するニーズが長年あります。しかし、ケラチンは動物由来の原料です。羊毛から供給されることが多く、ヴィーガンの傾向が高まっている昨今ではケラチンの使用は好まれなくなっています。 KeraMatch V(ケラマッチ V)は、豆とジャガイモのタンパク質を最適な比率で混合した原料で、動物由来のケラチンの性能と機能を備えた植物由来のケラチン代替品です。

ケラマッチVのパフォーマンステストでは、ヨーロッパ、アジア、タイプVIIの髪質を含めた、損傷した壊れやすい髪の髪質全体に対して大幅に改善しました。サロンの評価でも、消費者が知覚できるほど、髪質をすばらしく改善できたことが実証され、高いパフォーマンスを示しました。

ケラマッチ Vの強化効果を検証するために使用したテスト方法の1つは、単繊維引張試験でした。この試験は髪の強さを定量化するのに広く用いられる方法であり、個々の繊維を破壊するために必要な力の強さを測定して、髪繊維全体の基本的な指標を得ます。この試験において毛髪繊維の挙動は、典型的な応力-ひずみ曲線で表され、さまざまな条件にさらされた後、または製品や成分で処理された後の毛髪の引張特性を比較できます。